菩薩

音楽の菩薩のレビュー・感想・評価

音楽(2019年製作の映画)
3.5
なにかとプログレに対する目配せが強い作品であったが、彼等が無意識にやっていたのは完全にNO WAVEだと思うし、あの重厚かつ硬質なベース音にマイケル・ギラの地の底から湧き出る様な悪魔的ボイスが乗れば、その瞬間彼等はSwansに進化するはずである。そもそも反復するドラムのビートはFaustの「It's a rainy day sunshine girl」のそれとまるで同じであり、系譜としては極めて正しいところをスタート地点としている。The ShaggsやHalf Japaneseを彷彿とさせる非ミュージシャン音楽家が既存の文脈に捉われず鳴らし続けるジャンクでLo-Fiなsoundは、甲高く透明な調べを奏でるリコーダーを翼に変え、大空高く飛翔した後、遂には爆発しmusicとなる、初期衝動のビックバンである。カッコいい、気持ちいい、音がそれらの意味を獲得し、他者を巻き込み踊らせてしまえばその全ては音楽と名乗る資格を有する。もしかしたらディスコは君を差別するかもしれない、だが音楽は君を絶対に差別しない、何人たりとも音楽の前では平等であり、無力である。ただ楽器は大切に扱おう、壊していいのはピート・タウンゼントとカート・コバーンだけである(そんな事は無い)。

ちなみにプロデューサーは松江哲明である、どやさ。