ぴのした

音楽のぴのしたのレビュー・感想・評価

音楽(2019年製作の映画)
4.0
音楽とは何か。

チューニングはしない、決まったリズムも音程もない。ベース2本とドラムをひたすら感じるままに鳴らし続ける。

ケンジたちのバンドは、世間で言う「音楽」ではないけれど、どこまでも純粋な「音楽」と感じた。まさに森田の言う「ロックの原衝動」というか。

これをCDで聞いてもなんのこっちゃって感じになると思うんだけど、映像で見るとすごいんだよな。

森田が初めてケンジたちの演奏を聴く時の妄想とか、クライマックスのライブシーンとか、荒々しい手書きの絵と、縦横に動き回るカメラワークのおかげで「音楽」の衝動がダイレクトに伝わってくる。

この音楽の迫力もさながら、ふだんのシーンのオフビート感もかなり好き。平和な世界というか、登場人物みんないい奴で好きになった。

ケンジら3人組は不良に見えて全然他人に悪い事しないし(ケンジはタバコは吸うものの携帯灰皿を持っている)、アヤもかわいいし、不良軍団もコメディカルでいいし、なにより古美術の森田がすごくいいキャラよね。。

抽象画を見て「何を言いたいのかさっぱりわからない」という人もいるが、個人的には、純粋に形や色の面白さや印象(明るい?暗い?不思議?)をなんでも感じるままに楽しめばいいのだと最近気付いた。音楽も似たようなものかもなーと、思う。