蟹

音楽の蟹のレビュー・感想・評価

音楽(2019年製作の映画)
4.5
最初はただ坂本慎太郎を観に行っただけだったんですけど、まさか泣かされるとは思わなかった。
物語は高校生たちの日常がゆる~く進んでいくのだが、音楽にはじめて触れた時の熱量、音楽をつくりあげる熱量、そして7年という歳月をかけた映像の熱量が確かに存在していた。
自分が学生の頃友人たちとバンドを組みステージ上で音を合わせた時に感じた興奮や好きなアーティストのライブにはじめて行った時の興奮、社会人になりしばらく忘れていた腹の底がぐぐと熱くなり心臓が震えてほとばしるようなあの感覚が自分の中に戻ってきていて、終盤のライブシーンでは涙が出ていた。その前のリコーダー追いかけっこのシーンでは爆笑してたのに!!

主人公たちがはじめて音を合わせる場面、3人は「ボボボボ」とただの単音をひたすらかき鳴らす。
ギターと間違えてベースは2本になってるし、メロディラインなんてないけど、それだけで不思議とこれは音楽だと思わせてくれて、それだけで楽しかったんだ!とかつての純粋な気持ちを思い出す。
私は別にミュージシャンではないし楽器をさわるのもライブに行くのも趣味の範囲だが、音楽は確実に自分をかたちづくる一部になっているから、自分の根っこにガンガン響く映画だった。
そして岡村靖幸の使い方が贅沢すぎ!だけどぴったり!使うのここかーッてなりました。最高。

くだらなくて笑えて、でも誰もがまっすぐで、自分が大事にしていたあの感覚を思い出させてくれる。思いがけず大好きな映画のひとつになりました。
あと普通に森田のファンになってしまった…ライブやってくれ…
蟹