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ジョアン・ジルベルトを探してのkyokoのレビュー・感想・評価

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ドイツ人ジャーナリスト、マーク・フィッシャーが著した「ジョアン・ジルベルトを探して」に感銘を受けたフランス人映画監督ジョルジュ・ガショが、出版直前に亡くなったマークの足跡を追いながらジョアンを探す旅に出るドキュメンタリー。てっきりこのフランス人もジョアンジルベルトを愛してやまない人だと思ってたのだけど。

このウォーリー顔したフランス人から一向にジョアンに対する情熱が伝わってこないのよね。
あまり喜怒哀楽が顔に出ないタイプなのかしら。ラテンな日差しが恐ろしく似合わない(ついでに言うと、ジョアン担当美容師が彼の髪を切ったときのどうにもならない垢抜けなさ。もう右分けで左分けでもどっちでもいいわ)。

ジョアンの元妻ミウシャに着信があり誰かと気安げに話している。「今の電話は誰から?」と聞くウォーリーにミウシャはサラッと答えた。「ジョアンよ、あの人自分の噂話されてるときの勘が鋭いのよ」
え?ちょ、ちょっと待って、ジョアンとは誰も連絡取れないんじゃないの?ていうか普通にジョアンから電話きてんじゃん!「あ、そ、そうなんだ…」じゃないよ、ウォーリー!なんで突っ込まないの?
…って、映画館にいた客全員が心の中で突っ込んだと思う。あとから「取り次いでくれたっていいのに…」と恨みがましく独り言で呟くぐらいならその場で言えばいいのに。
この人ほんとにジョアンに会いたいの?

耳に心地よい曲の数々は嬉しかったけど、ジョアンよりマークの気配が強すぎる。
ナレーションはほとんどが著作からの引用だし、マークフィッシャーの情熱は本人がいなくてもインタビューの音源や動画、ものすごい枚数の写真からビンビン伝わってくるもんだから、結果マークの映画になってしまった。
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