フラニー

ジョアン・ジルベルトを探してのフラニーのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ジョアンの音楽に包まれて、なんとも不思議なドキュメンタリー、ロードムービー。

ジョルジョ・ガジョ監督自らが出演。

ジョルジョ監督は、ドイツ語版の『ジョアン・ジルベルトを探して』という本に出会い、著者のドイツ人ジャーナリスト、マーク・フィッシャーに共感し、マークがジョアンを追い求めた旅を再生しようとする。
マークは、この本が出版される1週間前に自らその生涯を閉じてしまったのだ。。

マークの通訳で、相棒ワトソンと読んでいたハケルと共に、ジョルジョ監督もまた、ジョアンを探す旅に、リオ・デ・ジャネイロを訪ねる…

そこで出会い、コンタクトを取ったのは、ミウシャ、ジョアン・ドナート、ロベルト・メネスカル、マルコス・ヴァリー!
ボサノヴァファンなら誰もが知る素晴らしいアーティストたちが(皆さん少しだけお歳を召して)
ジョアンの奇行ぶりを語ってくれる。。鳥肌立ちっぱなし、ワクワクが止まらない2時間弱でした!

ミウシャ、すっかりお婆ちゃんじゃん!と思ったけど、素晴らしい歌声を披露してくれていました。それに…先程パンフを見て知りました。昨年、亡くなられたのですね。。映画の中では、大輪の花のようなおおらかな微笑みと、ジョアンを称える美しい言葉と、マークの文章を楽しげに読む姿、ジョルジュ監督を励ます思いやり溢れる言葉に、知性を感ぜずにはいられませんでした。素晴らしいアーティスト!

すっかり太ってお爺ちゃんなジョアン・ドナートのピアノも本物だし、ロベルト・メネスカルとのエピソードにはビックリ!そしてマルコス・ヴァリーはまだまだかっこいいし。。

実は私は幸運にも、2003年のジョアンの来日公演を体感しています。素晴らしいマエストロ、日本の静かな聴衆に感激したジョアンは、私の体感では30分くらい、感激のあまりステージ上でうつ向いてフリーズしてたんです。忘れられない!開演は40分近く遅れるし、途中で感極まってフリーズしちゃうし、終電、間に合うかなぁ。。ってやきもきしました。聞きしに勝る怪人ぶりに驚き、でも幸せな時間でした。

ブラジルの友人たちの話からも、本当に変人なのだと、つくづく分かりますが、同時に信じられない程の音楽へのこだわり、天才ぶりも伝わってきます。

はぁ。。
それで結局ジョアンは歌ってくれたのかしら。謎に包まれた最後、さっぱり分かりません。
でも…
それが好きです。

だってそもそも、ミウシャなんてしょっちゅうジョアンに会ったり電話で話したりしてそうなんだもの!

「ジョアン・ジルベルト、どこにいるの?」

今もジョアンは私たちの心に生きて、語りかけるようにいつでもギターを奏でてくれているんだと、
ベベウへの子守唄「VALSA」を帰り道ずっとずっと口ずさみながら、ジョアンを感じていました。本当に本当に唯一無二のアーティストです。

彼の音楽を本当に愛しています。私もこんな旅がしたくなってしまった。こんな風に愛する音楽を追い求める姿は、もはや芸術になりうるんですね。。
フラニー

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