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ジョアン・ジルベルトを探してのIKのレビュー・感想・評価

4.2
(注:どの曲がかかるかなど、本線ではないネタバレ?を多少含みます)
ドイツ人ライターのマーク・フィッシャーがジョアンに会うためにブラジルを訪れた物語を基に、ガショ監督がその足跡を辿りながら自らの手でジョアンに会いに行く、というドキュメンタリー。
ジョアンは2019年7月に亡くなってしまっているのですが、この作品は2018年撮影です。

モデルとしているマーク・フィッシャーは結局会えなかった。監督はどうか?というのが焦点ですが、そもそも会えなかった人の足跡を辿るのでは会えないだろうとか突っ込むのは一旦待つ必要があることに観ると気づきます。
監督はそもそもジョアンに会いたいのか、マーク・フィッシャーの足跡が辿りたかったのか、多分半々くらいなのです。
原著を読んでいませんが、それくらい影響力がある本なのでしょう。すごく情熱を持って書かれたのだろうことが伝わります。
ジョアンを追っているのか、マーク・フィッシャーの亡霊を追っているのか、そもそも何を成し遂げたいのかわからなくなったところで、ロードムービーだということに気がつきます。
ブラジルを舞台にしてボサノヴァに彩られるいいロードムービーです、これ。

曲としてはこの映画の中では「オバララ」が一番象徴的なのかな。
個人的には「想いあふれて」がやはり外せず、でもあれはジョビンの曲とも言えるし流れるかなと不安になっていたら、ちゃんと流れました。劇場で聴けるのは感無量です。
街並みと自然の強烈なコントラストが眩しく、リオに惹きつけられる映像も良い。

ガショ監督、ドイツ語・ポルトガル語・フランス語・英語と使いこなす秀才で少し神経質そうな見た目なのにアポ取るときなどは無垢な顔してゴリゴリ正面突破するのが好きです。
アストラッド・ジルベルト(ジョアンの元妻)は出てこないんですね。

最後の響きが伝説のバスルームの響きなような気がして少し悲しい。
ジョアンのご冥福をお祈りします。ボサノヴァは常に違う目線をくれる、創造力の源です。