よしまる

ジョアン・ジルベルトを探してのよしまるのレビュー・感想・評価

3.7
主演も兼ねている監督が作品内でも独白しちゃっている通り、ジョアンを探しているのか、マークを探しているのか、それとも自分を探しているのか?つまるところ何をしたいのか分からなくなってしまっていることがよくわかる映画となっている。

が。

本をそのまま実写化したフィクションのほうが収まり良かったのではないかとも思ってしまうけれども、そうではなくドキュメンタリーとせざるを得なかった監督の想いは痛みを伴うほどに伝わってくる。それを裏付けるかのごとく、実在する登場人物が皆まるで役者のような演技で監督を翻弄するのが怖いくらい素晴らしい。演技ではなく、ただのインタヴューだというのに!

さて惜しくも本人が亡くなってしまったので謎が謎のまま終わることで収拾がついているものの、このまま長生きされてひょっこりステージにでも立たれたら何だったの?ってなってしまうんじゃないだろうかとも思ったが、逆に言うとすでに人前に出てこられる容態ではなかったということかもしれない。ただの野暮な推測です。

暖かい国でしあわせな歌を歌っているイメージのボサノヴァが呪われた音楽というのも何かを暗喩しているようで、その点はとても興味深い。とりあえず家にあるマルコスヴァレやナラレオンを片っ端から聴きまくってみているわけだけど、ソフト化されたらもう一度じっくりと味わってみたい。