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ジョアン・ジルベルトを探してのMMのレビュー・感想・評価

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ボサノヴァの創始者”ジョアン・ジルベルト”その人を探す旅に出るドキュメンタリー風の映画。

神戸アートビレッジセンターで上映されてたので観に行こうと思ってたんだけど、結局見逃してしまったのでDVDを購入した。

僕にとって、Bossa Novaという音楽はジョアン・ジルベルトとアントニオ・カルロス・ジョビン二人のことだと思っているんだけれど、特にジョアン・ジルベルトは表現者として惹かれるものがある。

とにかく「独り」なのだ。

基本的にギター一本で弾き語るスタイル。
最小限に研ぎ澄まされた表現。
しかしそこにはとてつもなく広い世界が広がっていて、とても豊かなリズムやメロディが溢れている。
それとポルトガル語なので歌詞はわからないんだけれど、聴いてるだけで詩情に溢れた詩が紡がれている(気がしている)。
特に祖国ブラジルのことを歌っている歌が多いのは、日本に住んでいる自分からすると、羨ましいなと思う。
(日本で日本のことを歌うって、なんか右よりな感じになっちゃうのが不自然。そういう意味でも清志郎が「君が代」歌ったり、HISで「日本の人」という歌を書いたりするのは愛があるなと感じる)

ジョビンは作曲家として偉大。数々の名曲を世に放っている彼だが、あまり目立たない、ちょっと暗い楽曲が結構ある。
その暗さが凄まじくて、人生の底を知り尽くしているかのような凄みがあるの。
これはこれで、じっくりと検証してみたいところではある。

学生時代に作品を作りながら(特に美術作品は一人で作ることが多いので)、一人で表現することについて考えを巡らせていた時期がある。

音楽では、クラシックではラヴェルやドビュッシーのピアノソロの曲を聴き漁ったり、ジャズでもセロニアス・モンクのソロピアノとかよく聴いてた。
他にも落語も一人で作る表現だし、文学もそうだな。
そういう一人で作る表現にこだわって観ていた時期があるんだけれど、その中でもジョアン・ジルベルトの存在は自分の中でかなり大きいものだった。

自分は一人で何ができるんだろう?と不安になる時、こういった先達の仕事を心の糧にしている。

残念ながら、この映画の公開前にそのジョアンは亡くなってしまったんだけれど、神話として語り継がれることになるのかな〜なんて…。

一度、生で観たかったな。