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リスペクトのcatmanのレビュー・感想・評価

リスペクト(2021年製作の映画)
4.0
ちょいネタバレ気味です

ソウルミュージック史上最も偉大なシンガーのひとりであるアレサ・フランクリンの伝記映画で、主演女優自らがそのボーカルを務めるという超離れ業を見事に成し遂げたジェニファー・ハドソンがマジ半端無い。そんなんできひんやん普通。マジR-E-S-P-E-C-T。歌唱法も普段の口調も、自然な形で本人に寄せていて上手い。ただ上手すぎるゆえアレサの物語に感じ入りながらも常に「ジェニファー凄ぇな...」って言う感情がついて回るので、マイナス要素になるというわけじゃないんだけど没入感の妨げにはなる。

映画はとても丁寧な作りで、撮影や照明、美術や衣装も演奏シーンも素晴らしいと思う。伝記モノとしてオーソドックスと言うか些かテンプレ的で全体的に駆け足になるのは仕方がないとは思うが、12歳で妊娠・出産したあの件や父親C.L.フランクリンの「ふしだら」な裏の顔ををハッキリ描かないのはやっぱりモヤモヤする。劇中でいつそれらが露呈されるのかと思ってヒヤヒヤしてしまった。

音楽ファン目線では序盤のシンガーとしての迷走期に登場するジェリー・ウェクスラーの救世主感にアガる。待ってました!ってなる。そしてやっぱりフェイム・スタジオとマッスルショールズの登場にワクワクする。楽曲をスワンパーズと作り上げて行く過程が最高にスリリングでエキサイティング。またオーラスに2015年のケネディセンター名誉賞で披露された本人の名演を挿入したのは大ファインプレーだと思う。YouTubeで繰り返し観た動画だけど、この歴史的なパフォーマンスを劇場で観られた事に感謝したい。震えた。
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