牧師の父とゴスペル歌手の母を持つデトロイト育ちの黒人女性で、両親の離婚後に引き取られた父の教会で幼い頃から類稀な歌声で周囲を魅了してきたアレサ・フランクリン。封建的な風習が残る時代に生まれ育って愛する父や夫の束縛に悩まされる彼女が、自らの声色を信じてショウビズの世界で大成功を収める様を描いた音楽伝記映画です。
圧倒的歌唱力とゴスペル・フィーリングの名曲で時代を席巻して『ローリングストーンの選ぶ最も偉大な100人のシンガー』一位に選ばれる等クイーン・オブ・ソウルとして君臨した伝説的歌手をリースル・トミー監督で映画化した作品で、物語の構成には賛否両論がありましたが主演の『ドリームガールズ』J.Hudの演技は高評価を得ました。
偉大なるフランクリンの足跡とJ.Hudの歌唱力への「リスペクト」の余りじっくりとした物語は興味を引く推進力に乏しく、ややキレイに取り繕われた感はあります。それでも積み上げられたフラストレーションの欠片がはっきりとした抑圧として形作られた時、それをはねのける力強い歌声が自分自身の解放を力強く後押ししている一作です。
