いのさん

猿楽町で会いましょうのいのさんのレビュー・感想・評価

猿楽町で会いましょう(2019年製作の映画)
4.2
《カメラ越しの刹那の恋》

(あらすじ)

新米フォトグラファーの小山田は、読者モデルのユカと出会う。2人の距離は近いようで遠かった。しかし、小山田だ撮った彼女の写真が2人の運命を大きく変える。渋谷の猿楽町を舞台に2人から動く恋愛を繊細なタッチで表現したラブストーリー。第二回未完成映画予告編大賞グランプリ作品。

(感想)

男女が出会って別れる、単純かつシンプルな話なのに、3段階構成で振り返りのある話の展開が面白い。何度か同じシーンが出てくるが、角度や演出で違った表情に見えるのがよかった。カメラマンの主人公がヒロインの素顔を撮っていく。しかし、写真をいくら撮っても完成度の高い写真でも嘘で塗り固められていたら写真に色がなくなってしまうと感じました。男女の難しい恋愛観の違いをストーリーが上手く表現していた。
英題は「colorless」。自分の色がないヒロインがこの映画の本質を捉えていると感じた。捉えどころのない難しい役にヒロインの演技がピッタリ合っている。更に、男性キャスト同士はあえて合わせずに、本来の生々しい恋愛観のぶつかりが表現されていた。
男女の恋愛観を繊細なタッチで綺麗に作り上げた作品です。エンドロール後にはきっと余韻に浸れるはず、皆さん是非劇場でご覧ください!

次回の映画祭での上映は、11月3日(日)10:10〜です。一般公開は2020年の春〜夏に公開予定です!
いのさん

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