小

だれもが愛しいチャンピオンの小のレビュー・感想・評価

4.0
「健気に頑張る知的障害者たち」のようなイメージを連想させる“釣り”邦題で、観ないつもりだったけど、「お涙ちょうだいかと思ったら、予想外に良かった」という映画好きのオジサンの勧めもあり鑑賞。

確かに「障害者たちが愛しい」という感じはなく、なかなかだった。本作は「障害者たちと自分勝手なバスケットコーチのマルコ」を「快と不快」「ご機嫌と不機嫌」に見立て、やっぱ快でご機嫌だよねということを、面白くかつわかりやすく描いているのではないかと。

普通、不機嫌な人がいたら、周りの人もだんだんと不愉快になってきて、その場の空気が悪くなったきたりするのだけれど、障害者たちは絶対的なご機嫌。どんなときでも彼らは快の方にしか目を向けない。

ネガティブ思考で、孤立してしまうマルコは彼らへの指導を通じて、逆にのご機嫌の偉大さを“チャンピオンたち”から学び、だんだんと変わっていく。

他人を憎んだり恨んだりする気持ちがない障害者たちを見ていると、私自身も自分の方が病気に思えてくる。この病を克服するためにブッダのように悟りたいと思うのだけれど、無理っぽいんだよねー。

でも、できるだけ快の気持ちを尊重しようと心がけることはできるかもしれない。それだけで、世界が少し変わりそうな予感がする。

実際の障害者をオーディションして起用した10人の俳優の演技がとてもナイスで、久々に笑えるコメディでもあった。ストーリーとか若干粗いかな、と思う点もあるけれど、観終わった後は結構、清々しくいい気持になれたかな。
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