このレビューはネタバレを含みます
これは普通にいい映画でした。こうなるんだろうなと予想通りに行ってくれるのが気持ちいいながらもたまに意表を突かれることもあり。
なによりみんなの演技がすごい。監督の演出のつけ方どうしてるんだろう。多分みんなそこまで重度の障碍者じゃないんだろうが、それにしても自然さとコミカルさのバランスがいい。
バスケ自体中々映画にするには難しいスポーツだろうに、ここまで仕上げるとは。
ていうか結構みんな俺より運動神経いいぞ(笑)。負けてるわ(笑)。特に途中から出てきたあの女の子!名前忘れたけど(笑)!あの子動きもいいしキャラもいいし最高!
障害者だからって聖人みたいに描かないという気概も素晴らしかった。聖人君子障害者の描写って結局作り手が楽だからやってる感あるもんなぁ。
それはさておきみんな働きぶりが真面目で素晴らしい。正直大半の健常者よりやる気あるだろうな。素直だろうし。
感動と笑いのバランスも絶妙で、というかほとんど笑いのほうに行っていたのがよかった。タブーをそこまで恐れていないし、障碍者チームの描き方もダメダメでも慈しみを持って撮っているのがわかる距離感。カメラの位置とかの問題なんだろうか。
そして我々の無意識の差別意識もあぶりだしてくる。端々の会話などにも。主人公のコーチが障碍者たちに慣れてきたあたりで、子供の話とかでそういう側面を出してくるのがシビア。
そして主人公も健常者だけど、酒がやめられないとか、奥さんとうまくコミュニケーションとれないとか、エレベーターが怖いだとか人とは違って人よりも劣っているところもあるし、それを障碍者の仲間たちに気づかされて徐々に成長していくところとか、設定をうまく活かしている。
俺だって集中できないとか朝起きられないとか浪費しちゃうとかいろいろ“障碍”抱えてるもんなあ。
障害者からも学ぶことがあるなんて手垢の付きまくったメッセージもギャグでコーティングして嫌味なく見せていくあたりこの監督上手いですわ。
そんな風にお互い成長していき、チームも勝ち進んでいく。
そして個々人がトラウマを乗り越え一つになっていく。ベタすぎるくらいベタだけど気持ちいい。
最後の後ろからブン投げシュートだって入らなくてもアガったし。2位で大騒ぎして喜ぶあたりは『チアーズ』を思い出したりしました。
正直言うと、もっと障害者バスケチームの規定やらトーナメントに対する説明が欲しかったしどうやったらどうなるのかを知りたかった。あと明らかに劇中で三ヶ月以上の濃密な月日が経っているように見えるけどあれ4ヶ月の話なのね。ちょっとおかしくない?(笑)
ラストのみんなで輪を組んでの場面はちょっとウェットすぎる気もしたしなぁ。でも間違いなくいい映画。
埋もれるにはもったいない。