改めてギャスパー・ノエの作品は唯一無二の「体験」だと思わされた。
「Climax」に続き、ドラッグの話。だけどドラッグそのものというよりそれに類する体験がテーマ。苦痛の中の恍惚、苦しみから生まれる表現。
後半になればなるほど、身体は同じ場所にあっても心は全く違うところにある人々が衝突する。あちこちで起こる混乱に次ぐ混乱。人々の"すれ違い"を描いた作品は数あれど、ここまで強烈なものはそうそうない。
そしてそれに呼応するような視覚的表現が繰り出され、見ている人間もすごい境地にまで連れて行かれる。
「ラストナイト・イン・ソーホー」を想起したり。
真っ暗な空間、なるべく大きな画面で観るべし。
脳に電流が流れる感覚を味わえる。