にくそん

ワイルド・ローズのにくそんのネタバレレビュー・内容・結末

ワイルド・ローズ(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ジェシー・バックリーは『ジュディ 虹の彼方に』で好きになり、『ドクター・ドリトル』は出番が少なかったけどやっぱりいいなと思って、この『ワイルド・ローズ』。前の2作と似ない役で、映画の思いきり最初の方で、刑務所を出るなりボーイフレンドと芝生の上で事に及んでて、なんか笑ってしまった。いいじゃない、おおらかで。

ローズ=リン・ハーラン(主人公)、最高。白いブーツもフリンジ付きの服も「カントリー&ウェスタンの歌い手」って言われると怒る(「ただのカントリーだから!」って言う)ところもかわいい。ガサツだけど人なつこくて悪気がなくて正直で、こんな人、愛さないわけにいかない。名前の響きもかなりいい。MCになって呼び込みたくなる名前。

歌声がそれはもう素敵で。宣伝にある「ラスト5分」の「Glasgow」もすごくいいけど、私は特に、お金持ちの家で録音用に歌う「Peace in This House」が好き。声量のある人なので、曲の盛り上がりの部分も気持ちいいんだけど、AメロBメロを綺麗に響かせてきて、この歌心みたいなものこそ非凡だなと思った。声そのものの魅力も、声を張ってないときによく伝わってくる。ローズが歌ってみんなの目が輝くのが、私もうれしくてしょうがなかった。

主人公が素直なら映画のつくりも素直で愛らしい。前科があり、子どもも二人いる若いシングルマザーがカントリー歌手としての成功を夢見る、まっすぐまっすぐな物語。こっちまでつい素直になって、観ながら子どもみたいに「がんばれ」とか「お願いだから」とか思っていた。母が娘に「あなたが見てきて」と言うところはぐっと来た。私の席の左斜め後ろのほうでも誰か、鼻をぐずぐず言わせていた。

ローズが清掃の仕事をする家の奥さん・スザンヌも忘れがたいキャラクター。「50歳の誕生日が~」とか言って若すぎでしょ、と思ったけど、演じたソフィー・オコネドーほぼ実年齢。えー、若。『ナイル殺人事件』にも出ているそうなので、ナイルがますます楽しみになる。あともちろん、ジェシー・バックリーの今後がとてもとても楽しみ。
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