m

残念なアイドルはゾンビメイクがよく似合うのmのレビュー・感想・評価

1.1
故・階戸瑠李さんの為だけに観ました。

一見B級アイドルホラーっぽいタイトルとパッケージですが実は「メイクルーム」シリーズ第3弾(と言っても多くの人には何それ?という感じだろうけど)。完全に『お馴染みの登場人物達ですよ!いつもの舞台ですよ!もちろん皆さんご存知ですよね!』という感じでしれっと始まります。何も知らずに観たあなたは御愁傷様です。
昔ゆうばり国際ファンタスティック映画祭でこのシリーズの1作目を観て『はぁ・・』となり、それがまさかのグランプリを獲り、これに賭けていたらしいベテランそうな監督が2作目作りますと宣言した時は流石に冗談でしょと思ったら本当に「メイクルーム2」が作られ(しかし特に話題にもならず)、更にまさかの3作目まで作られた。一番ダサい何も生まない負のスパイラルだと思う。ダサイクルだよ。

観た感想としてはシリーズ1作目と同じく『悪い意味でウェルメイド』。一見ソツが無くそれなりにできてるようで全然できてない。退屈で平凡でうざったいワンシチュエーション・コメディ。
客観的な計算を監督が全然できてないので何も心を動かされず、ステレオタイプの登場人物がバラエティ的に誇張された胸焼けのする右往左往とその後の雑で強引な感動ドラマをダラダラと見せられる。あとドタバタと役者が出ハケし続ける割に微妙な拙い間がしょっちゅうできるのが気になる。演出も編集も稚拙。
友人が出てる小演劇を観に行ったらなんだかなぁな感じの出来だった時の事を思い出した。そう、なんだか出来の悪い小演劇みたいなのだ。映画的という事は全く考えられておらず、演劇としても非常に不出来。

『今回低予算だからうちら演出部が制作部も兼ねてるんですよね』とか撮影業界ネタを『ありますよねぇ』とばかりに目配せしながら台詞で言うけど、業界の人間ならまぁ意味は分かるけど(とはいえこれ業界でもかなりヤバい層の現場でしか無い事なので業界の人でも何それ?となる可能性あり)それ一般の観客に何の説明も無しに意味伝わると思ってる?内輪向けの業界あるあるを何か面白い事のようにしてくる。でもまあ分かんなくてもいいのか・・そっか・・
あと当日に香盤(スケジュール)が変更されまくるのは業界あるあるではなく、この現場が崩壊してるからor超低予算だからそうなっちゃうかのどちらかです・・

中盤でこの劇中映画が16mmフィルムで撮影されてる事が分かるんだけど、この感じでフィルム撮影はありえないでしょ絶対デジタル撮影でしょ。ピンクでフィルム撮影やってた時代はもうかなり前に終わってるし。今時こんな雑な超低予算現場でフィルム無理でしょ。フィルムローダーも見当たらないし。てかフィルム撮影中にファインダーから目を離してるんじゃないよカメラマン!


とはいえ正直自分にとってこの映画自体の事はどうでもいい。そんな事より階戸瑠李さんの事を書こう。
階戸さんは32歳の地下アイドル・ミサキ役。登場する役者の中では贔屓目抜きに彼女の演技がダントツで良くて、中盤彼女が涙ながらに悩みを告白するシーンはこの酷い映画の中で唯一胸を打つ瞬間だった。この時の彼女は輝いている。

今でも彼女の事を考える。
m

m