チッコーネ

替え玉美女はトラブルの元のチッコーネのレビュー・感想・評価

替え玉美女はトラブルの元(2015年製作の映画)
2.7
フィリピンで高い人気を誇るオネエタレント、バイス・ガンダ主演のドタバタコメディ。
日本人は『マツコが映画主演しているような感じ』と聞けばイメージしやすいかもしれないが、ルックスは性転換前のKABAちゃんとミッツ・マングローヴを足して2で割ったような趣。
長身およびスラリと伸びた足がご自慢なのではと推察されるが、お顔は正しく馬ヅラだ。
彼がゲイなのかトランスセクシュアルなのかはいまひとつ判然としないのだが、SNSをチェックしてみたところ、最近はイケメン俳優と公認カップルになってイチャイチャ動画を投稿と、強引にマイウェイを突き進んでいるご様子。
『ドラァグレース』のブレイク後、アメリカではルポール主演のドラマやビアンカ主演の映画が製作されたが、それより早く何作も主演映画を撮っている彼女の功績は大きい。
またフィリピンにしっかり根を下ろしたゲイ文化の力強さにも感じ入った(何せあのドゥテルテ前大統領でさえ『昔はゲイだった』と公言するお国柄だ)。

チープな技術や演出が顔を出す作風は推して知るべし。
しかしアホらしくて笑うしかないやり取りの連続の中に、ハッとするほど乾いたユーモアが混在しているので、侮り過ぎも禁物だ。
またココ・マルティンのトゥインクぶりは、凄まじい。
刑事ドラマ主演で国民的人気を獲得するに至ったという彼だが、出自はブリランテ・メンドーサのインディ作品で、ゲイ役も経験済みである。
各場面における表情作りの的確さには驚くばかり。
教科書的とも言えなくはないが、ベビーフェイス+マッチョバディな彼の魅力には、どんなゲイでもメロメロになってしまうだろう。
エンドロールでは彼とガンダのNG集を覗き見れるが、嫌々でなく共演を楽しんでいる様子は何ともハートウォーミングだった。
ほかにも郷ひろみそっくりな謎の日本人悪役、その部下に韓国人(フィリピンで活躍する韓国系タレント、パン・ライヤン)を配すなど、国際色も無駄に豊か。