もしもし五反田

草間彌生∞INFINITYのもしもし五反田のレビュー・感想・評価

草間彌生∞INFINITY(2018年製作の映画)
3.5
草間彌生自身がどれだけ壁を登って道を切り開いてきたかを伝える一方で、
日本で芸術を武器にすることの生きづらさ、間口の狭さも際立っていて悲しくなってしまった。
(日本で受け入れられたのが90年以降だったなんて知らなかった…)

“水玉”が彼女にやっと息ができる世界を与えて、精神を病みながらも自身を没入させることもできて、
その中で自由に泳ぐことができていたのに、
スキャンダルを耳にしただけで存在を拒絶してしまう。
「恥さらし」と罵倒したり高校の卒業名簿から名前も削除したりしたのに、
今では観光のコンテンツとしてありがたがっているなんて皮肉にも程があるでしょ…。
本当に悲しい。

ただ、過酷な日々の果てに時代がやっと彼女に追いついて、今や世界中にその名と作品性を知らしめた今があるという現実がただただ救い。
そして、ドキュメンタリー映画だから伝えられる強い芯を観た気がする。