たらこパスタ

犬王のたらこパスタのネタバレレビュー・内容・結末

犬王(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

はあああああー!!!!好き!!!!

室町時代でロックオペラ、一体どんなものなんだろうと気になっていたのですがびっくりするほどハマっていました!
外力によって掻き消されてしまった「存在していたこと」を語り不滅にすること。その行為のかけがえのなさを感じました!それは作中平家の亡霊たちのことを語り切った友有と犬王からも、そして映画「犬王」で語られた友魚と犬王が駆け抜けた時からも強くそう感じました。外力にあたる権力からの無理強いのなかでパワー溢れる2人の主張はロックと相性抜群だった!友有座バンドの結成秘話が観たすぎる

また、映像に没入しながら音楽と踊りそれ自体の持つ原始的な楽しさとかパワーを感じました!犬王が稽古を見ながら舞を習得するところとか、空間を熱狂させる友有座のライブとか、それで勝手に体が動き出す市井の人たちとか、全部素敵すぎる。初めて大好きなバンドのライブに行った時の気持ちが思い出された

そして、ビジュアルな面も魅力的でした。感情や感覚を可視化したものの説得力の高さ!!!客観的な出来事に対して、そこに発生する観客が抱く主観的な感情が可視化されて強い説得力で重なり合っているように思いました!その主観的な部分のビジュアルはファンタジックだったり、現代チックだったりするんですが違和感なくすっと入ってきました。視覚的にも面白くて惹きつけられました!アニメーションならではのデフォルメ度や、キャラクターの身体能力の限界値の無さがこの説得力をより強固にしているのかもしれません。湯浅政明監督のアニメーションの縦方向の移動大好きです。観ていて本当に楽しい、ワクワクします 

主演の友魚・犬王のパワフルで変幻自在な演技も超素敵でした。ライブシーンも引力が半端なかったですし2人の会話や最初に出会ってその場でセッションするシーン(ここがまた半端なく素敵なんです.....)の掛け合いが最高で....!このシーン観て、はじめてなのにわくわくが止まらなくてすごくしっくりきて確信が持てる瞬間のこと思い出した。こういう瞬間は滅多に出会えないし長く続くわけじゃなくてとても尊い一瞬だと思います。

日食が終わって亡霊を全員成仏させたところが比較的サクッと完了し、その後の2人で室町時代パートが終わり現代視点からのパートで締める流れがとても好きでした。テロップで現代視点に移行した瞬間に記録から掻き消されてしまった600年余りの時の重みが一気にやってきて、その後の現代での再会シーンが上記のめちゃくちゃ最高セッションのイメージになっていったところで大変感動しました!犬王はきっと600年友魚を探していたのかなぁ
友魚がリードを担いながら犬王にかかった呪いが解けていき、しかしその後の2人の胸が苦しくなる顛末、からの長い時を経て今度は犬王が縛り付けられていた友魚を引っ張り出し再会する展開はシンプルかつドラマチックだった!

劇場でてからもしばらく余韻が残る素敵な作品でした! 
たらこパスタ

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