こう

犬王のこうのネタバレレビュー・内容・結末

犬王(2021年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

製作陣の個性詰め放題。
ずっと上映を楽しみにしていた作品だったから映画館で観れて良かった。

最初からトップスピードで圧巻の作画に音楽、声優もハズレなくて『凄いものを観てる』って感覚はあった筈なのに何故か世界観に浸りきれなかった…残念。伝統とロックの融合は面白いのかもしれないけど、手拍子を煽ったり観客に歌わせる様なパフォーマンスやロックで現代過ぎる演出に冷めてしまった。面を外した顔はもっと美貌に満ちても良かったのでは…と思ったけど敢えてなのかな。

ひと昔前のロックバンドのライブみたいなシーンはせっかくの琵琶の存在が薄れてしまってうーん…となりながらも犬王が歌う度に惹き戻された。圧巻の歌唱力とそれに負けない作画。アヴちゃんの異次元な歌声が異次元の世界にハマってた。

見えないものが触覚や聴覚、匂いで視える様な描写が凄い。盲だったりや歯並びガタガタだったり、五体不満足だったり…不完全で人間らしさを強く感じた。

「自ら名付けて名乗る」
「我は此処に有り」

魂達が無念を晴らすための復讐ではなく自分が存在したことを誰かが分かってくれた時に成仏していくのが良かった。600年越しに犬王に見つけてもらった友魚の魂が成仏するシーンに救われた。

少し前にアニメの『平家物語』を観ていたのが予習になって良かった。
音楽や舞を通して歴史や物語を伝える点では能もミュージカルなんだな。人生で一度くらい伝統芸能というものを観てみたくなった。

エンドロールの字面が強い。
キャラデザの原案とかダンスシーンのメイキングとかアフレコ映像とか制作過程がととっても気になる。
声優陣のキャストそのままで舞台やったら凄いことになりそう。
こう

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