きゅう

犬王のきゅうのネタバレレビュー・内容・結末

犬王(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

時代の勝者によって“亡きもの”とされた者達。
アニメーション表現が凄すぎ。
冒頭から表現の洪水で、快感でもあり恐怖でもあった。主観視点の表現とか素晴らしい

楽器のように幅広い声色のアヴちゃん、ハマり役。
森山未來も友魚の声になってた。まっすぐで熱い歌声も素敵でした。他キャストも良い。
松重豊はずっと耳に残ってる。

ストーリーは絵で全部見せてくれる。
他の感想見てる感じでは、なかなか伝わってなさそう…
一つ一つのセリフや動きに意味が凝縮されている感じ。
時代特有の血生臭さ、政治的な残酷な部分も描写する。それによって人が癒しを求める熱狂的な姿も映える。
仮面の下の顔、それが本当の顔なのか。
“名前”と“呪”、“父”と“子”の呪縛の物語でもあった。

原作小説は未読ですが、歴史好きとしてものすごく震えた。
犬王という人物はほぼ史実として残っておらず、ただの知識として少し知っていただけ。
今作は色々と肉付けされてはいるが、“生きていた人間”としての犬王がいた。そこにものすごく感動した。

呪いとかが出てくるのに、鑑賞後は爽やか。犬王がとてもカラッとした性格だからかな。
自分のこともネガティブに捉えていない。とてもまっすぐ。大衆が彼を差別したりする描写がなくていい。あのままでは義満に受け入れられないだろうけど。体の変化と共に特徴を失っていく彼が、無音の中で舞う姿、とてもつらい。

湯浅監督ってまるで犬王だなと
きゅう

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