犬王は琵琶法師の青年と組んで失われた平家の物語を演じ、人々を熱狂の渦に巻き込んでゆく様を描き出していく時代劇ミュージカル。犬王とは室町幕府三代目将軍・足利義満の庇護を受けたとされる近江猿楽比叡座の太夫、のちの道阿弥のこと。当時、かの観阿弥・世阿弥父子と人気を二分していたといわれていますが、なぜかほとんど記録が残っていないことでも知られているとのこと。とにかく、不思議でかなりのイリュージョンの世界観に驚かされます。熱狂の渦の様子がありありと表現されていて、とにかく引き込まれます。平家の亡霊の無念を払う躍りと音楽は一見の価値ありです。
