室町時代を舞台にロックとパフォーマンス（シルク・ドゥ・ソレイユみたいな）をやっちゃうという奇抜なアイデアのアニメミュージカル。
猿楽に憑かれた故に禁断の面に手を出した頭領・犬王の父と、その呪いを背負って異形で産まれた犬王、海に沈んだ三種の神器のひとつ草薙の剣を海底より引き上げたことで視力を失い琵琶法師となった友魚が出会い、いまだ京に蔓延る平家の怨念を平家物語を"語る"ことで成仏させていくという仕掛けの部分が大きな見せ場。
彼ら2人の友情はあまり語られずとも伝わる見せ方をしているけれど、友魚の最期は無慈悲だったし、その反面の犬王の栄華との対比が無情過ぎた。
桜舞う中、無音で舞う犬王の表情には何も浮かんでおらず、友の最後をどう感じていたのかよく分からない。
現代まで彷徨う亡霊となり果てていた友魚を彼が探し出し再会するところで結末となるが、これどう感情を整理したら良いかわからんなあ……とぼんやりと思う。
美しい絵や作画が湯浅監督らしさ全開で、衣装や舞台の演出にそれっぽさが交じる。
犬王の父が報いを受けるシーンの一瞬の惨たらしさも効いている。
平家物語に始まり、犬王と友魚も同様に短い期間に名を馳せ、政に巻き込まれて散ってしまったユニット、彼らもまた平家のように儚く終わった、そんな物語だった。
