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電車を止めるな! 呪いの6.4kmの小のレビュー・感想・評価

3.5
12月18日、『カメラを止めるな!』の聖地・池袋シネマ・ロサでの劇場公開、おめでとうございます! 地域住民のため、赤字の鉄道を走らせ続けるため、ダジャレとパクリ一歩手前の食品販売やイベント、マスコミ露出による宣伝など、「我々は真剣にふざけている」をモットーに、できることは何でもやる銚子電鉄が、老朽化した変電所の修繕費2億円を稼ぐために製作した映画。秋葉原での上映会にて舞台挨拶付きで鑑賞。

内容は「思ったより面白い」「期待しないで観たら案外良かった」という感じじゃないかと思うけど「真剣にふざけている」の言葉通り、良く考え、きちんと作られた映画のような気がする。上映会では「映画を観た後に開けてね」と言われたプレゼントをもらい、上映後、舞台から促されるままに開けると、なるほど、やっぱりこっちの方が映画よりも安定しているものね、と妙に納得するという。

銚子電鉄のことはテレビで廃業寸前のローカル線が、面白いことをやって話題になり、なんとか生きながらえている、くらいの知識しかなかったけど、映画を観た後、ググっていろいろ考えると、しぶとく生き延びているのにも訳があるのですね、という気に。

銚子電鉄は、普段は銚子電車に乗らない人の支えが必要不可欠なのだけど、支えたくなるような要素をいくつも持っている。①食品など鉄道以外の事業は成長とか利益の拡大が目的ではなく、鉄道運行の継続という公益のためであること、②経営者など会社の人が無私(竹本勝紀社長の報酬は10万円らしい)であること、③やっていることが面白そうで楽しそうだから、かかわりたくなること、④会社の目的が子どもやお年寄りの足を維持するためという泣かせる理由も聞かされたりするが故、かかわると良いことしたような気分になれそうなこと。

とはいえ、飽きやすく、善意も長くは続かない人々をつなぎとめておくために、何が変わったのか良く分からない新製品を次々に出す大企業のように、流行をとらえ続けることが生命線のアパレル会社のように、「日本一のエンタメ鉄道」を目指して、人々の関心を集めそうなことを常に考え、次々と発信していかざるを得ない。でも、これがやっている人にとってはたまらないのだろうね、きっと。

ということで、だじゃらー竹本社長の話も面白いので、可能であれば舞台挨拶付きの上映がオススメ。上映後は銚子電鉄オリジナル商品や鉄道グッズを購入すると、より一層、良いことした感を得られる、かな?
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