踊る猫

少女の髪どめの踊る猫のレビュー・感想・評価

少女の髪どめ(2001年製作の映画)
3.7
イランの映画は全然知らないのだが、このマジッド・マジディという監督の「人生の達人」ぶりには恐れ入った。この才能は小津やキアロスタミと比肩するのではないだろうか。「男に化けて男社会で頑張る妙齢の女性」と「そんな女性に一目惚れした男」というラブコメとしての面白さも捨てがたい(むろん、ハリウッド映画のこなれたコメディと比べると素朴すぎるが、それもまた味ではある)。しかし、ここで射抜こうとされているのがアフガニスタンやその他中東の政治情勢・生活問題であることを踏まえると彼らの物語にグッとペーソスが増してくる。そう、ここではラブコメと政治が幸福な融合を果たしている。点が低くなるのは結局好みの問題でしかないのだが、ここで描かれている問題を日本でも最近見かけるようになったと思う。だから他人事の世界ではないのだ。小津ファンは一度騙されたと思って試してみてもいいかもしれない(が、ローアングルのカメラだとかそんなものは期待しないで欲しい)。
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