コ

生きるのコのレビュー・感想・評価

生きる(1952年製作の映画)
4.0
哀愁たっぷりな志村喬の実力を堪能する作品。

"胃癌なんて死刑宣告と同じだ…しかしこの男は死刑宣告から生き始めたのだ"

お役所勤め皆勤30年。ただただ机に向かい1時間で終わる書類を1日かけてやる作業に人生を費やした男。そんな彼にされた"死刑宣告"。その日から彼は最後の数ヶ月を初めて生き始める。

なんとも面白い構造で進んでいくストーリー。胃のレントゲン写真から始まり、死後まで描く。
彼の行動で何かが変わったのか、、彼自身が変わる事で何かしらの影響を与えたのか。たった1人の人間が動く事で与えられる影響は微々たる物かもしれないが、確かに誰かの何かを突き動かす事ができる。
死の手前にいる主人公から湧き出る甚大な生気とそれを見事に演じて見せた志村喬には本当に膝を打つ。

命短し恋せよ乙女。
コ