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生きるのMavisのレビュー・感想・評価

生きる(1952年製作の映画)
4.6
2019年の最初に鑑賞するのは黒澤明監督作品と決めていた(๑و•̀ω•́)و

黒澤明監督作品は初めて鑑賞した。黒澤明監督作品を見ないと映画好きを自称してはいけないと言われて、逆に見たくなくなるという現象が起きたから。
それに、すごい世界の巨匠と言われているけど、白黒映画だし、60年以上も前に作られているから、普段ライトな作品ばっかり見てる私に良さが分かるかどうか不安だった。

だけど、この作品を見た瞬間そんな不安は全部どっかに吹き飛んだ。
むちゃくちゃいい作品だった!感動!

初めは声が聞き取りづらくて画面の近くにいたけど、だんだん作品自体に惹き込まれて最終的に画面にへばりつくように見てた。

涙が止まらなかった。人生で初めて初泣きを元日に済ました。
まず、主人公の勘治が「ゴンドラの唄」を歌うシーンで泣き、葬式中の回想シーンで泣き、町から勘治にお焼香をあげるために葬式に来たシーンで泣き…。もうぼろぼろ泣いた。

30年間役所でミイラのように過ごしていた勘治が胃がんでもうすぐ死ぬと分かった。勘治が生き方を模索するシーンが子供のように無垢で見ててほっこりした。かわええのぉ。それと同時に、にこにこ笑いながら人生を楽しもうとする勘治を見ていて悲しくてなんとも言い難い感情になった。人間って自分自身の死が見えないと本当の意味で生きられないと思った。

「……その…つまり……、その…なんというか…、僕は…………、」みたいな話し方の口下手な勘治が日本人らしかった。私もあまり口がたつ方じゃないし覚えがあった。上司に意見を言えた勘治に感動した。はっきりとではなかったけど、本当にすごいと思った。

ふざけんなよ役所がぁぁぁ(#`皿´)とムカつくシーンが、更に勘治の聡明さを浮き彫りにさせていた。役所とか政府とかトップってどの時代も変わらないのか?

この映画を見て、人生で初めて本当に生きたいと思った。生き方を見つけた勘治は確かに生きていた。私もミイラみたいにただただ生きるのではなくて、自分で何かを作り上げて、自分が生きていた証みたいなものを残したいとしみじみ思った。生きる力が湧いた。
黒澤明監督は俺は作っている=生きているってことを言いたかったのかな。

歳をとればもっと違った深い見方ができる作品なんだろうなぁ。今はさらっと浅くしかこの映画を味わえてないのかもしれない。しばらくしたらまた見よう。でも、とりあえず今度は「七人の侍」を見よう(๑و•̀ω•́)و
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