翔海

生きるの翔海のレビュー・感想・評価

生きる(1952年製作の映画)
4.5
生きることの執着
これまでの人生ミイラなら余命宣告からでも生まれ変われる。

30年間休むことなく働き漬けの毎日の主人公。胃ガンが見つかり残り半年の余命宣告を受ける。彼は余命の人生を過ごすため小説家と行動を共にする。これまで遊ぶことのなかった彼の人生が変わり始める。

初の黒澤明監督作品一作目です。いつかは観ようと思っていた作品でやっと観る機会が訪れました。志村喬さんの表情がとても悲しげであり、胃ガンであることを家族にも打ち明けられない。そんな1人の男が市民のために決断をしたその姿に感動した。息子に胃ガンを告白しようとして遺産の話で塞がれて、自分の言葉を伝えられなかった思いや息子との昔の思い出の回想シーン。親心に息子を思う気持ちが伝わって来て心の奥に突き刺さる描写でした。見たあとのこのフワフワする感情は気持ちに整理がつけられないのと死に向き合ってこなかったから湧く感情だと思います。
けれど、何故か涙が溢れてくる。
翔海

翔海