七沖

EXITの七沖のレビュー・感想・評価

EXIT(2019年製作の映画)
4.7
〝命綱無しの緊急脱出!上昇してくる有毒ガス、出口は超高層ビルの屋上のみ!〟
ディザスターものだということが瞬時に分かるキャッチコピーだが、説明文すぎるので、もう少し印象に残るワンフレーズが欲しかった気もする。

街中で毒ガステロが発生。元山岳部のヨンナムは、家族と片想いのウィジュを守るために毒ガスが届かない高層階を目指す…というストーリー。

これは予想以上に面白かった!!韓国映画おそるべし…!
知識を得られる映画や、考えさせられる映画はもちろん好きだが、個人的に一番映画に求める要素はエンタメだ。エンドロールが終わって場内の灯りが点いたとき、「あー面白かった!」と言える映画が好きだ。
そういう意味で、本作は完璧だった。
ディザスタームービーながらもコミカルな要素が随所に挿入されているので、肩の力を抜いて観ることができる。グロいシーンもなし。脱出に使う小道具も伏線が効いていて飽きなかった。

メインキャラとなるヨンナムとウィジュもいい。
主人公のヨンナム(東出昌大に見える)は情けない場面も多いが、いざという時は誰よりも勇敢だ。そしてその勇敢さが持続しない不完全さが愛おしい。
ヒロインのウィジュは責任感もあって凛としている風だが、実はめちゃくちゃ助かりたく思っていて、ヨンナムに情けない表情を見せるのが可愛い。
さらに、ヨンナムの家族(邦画にしたら、父親役は吉田鋼太郎で決まり)もいい味を出している。無職のヨンナムに対して普段の家族の風当たりは強いが、いざヨンナムに命の危険が迫ると家族みんなが必死に大声で応援するのだ。みんなヨンナムのこと大好きか!

毒ガステロの被害や犯人の動機にフォーカスを当てればシリアスで別の映画になったと思う。
等身大主人公の脱出劇と成長に絞ったエンタメ特化のストーリー展開は大成功だと感じた。
ラストも爽やかに終わり、個人的には言うことなしだ。

あー面白かった!
七沖

七沖