kazu1961

陸軍のkazu1961のレビュー・感想・評価

陸軍(1944年製作の映画)
4.2
🔸Film Diary————————————————-
▪️本年鑑賞数 :2021-468 再鑑賞
▪️#死ぬまでに観たい映画1001本 ※※※/1001

🖋オープニングテロップにある「陸軍省後援 情報局 國民映画」、第二次世界大戦中に作られた本作、もともとは国威高揚を目的とする国策プロパガンダ映画として製作された作品です。長州下関戦争、日清戦争、三国干渉、日露戦争と外国勢の脅威と横暴さを描いてから第二次世界大戦へと突入するあたりはいかにも国策映画の色が。また第二次世界大戦中に製作、公開されたこともあり画面から伝わってくる登場人物の心情のリアリティもまた凄いです。

🖋ところが本作、映画製作を依頼された巨匠木下恵介監督は、そのシークエンスの所々にまた日本映画史に残る伝説のラストシーンにある意味反戦と解釈されても仕方がない、本来の目的とかけ離れたメッセージを忍ばせました。そう、出征する息子を見送る母の哀しみを爆発させた 映画史上に残る素晴らしいラストシーンには、木下恵介監督が“軍国の母"の真の想い(息子の出征を心から喜ぶ母親はいない!!)を吐露した描写になっています。

🖋そのラストシーン、田中絹代の名演技に胸が痛みます!!表情だけで演技するクローズアップのロングショット、田中絹代を追い続ける撮影はもはや伝説の域に達しています。

🖋木下恵介監督は、この抵抗によって以降しばらく映画制作の仕事を奪われることとなります。情報局からにらまれ終戦時まで仕事が出来なくなったと言われています。しかしながら信念を貫いて撮った伝説のラストシーンが、のちに本作を日本映画史に残る戦争映画の最重要作の一つにまで推し上げることとなります。

😢物語は。。。(参考:Amazon より)
幕末から明治の時代にかけて、日本陸軍の興隆に関わり続けた一族の姿があった。祖父は三国干渉に憤りながら逝き、病弱で日露戦争の前線に出られなかった父は、その後の商売にも難渋する。やがて時は大正から昭和へと移り、日本は再び戦争の時代を迎えて、息子の出征も決まるのだが……。

🔸Database————————————————-
🎥邦題 :『陸軍』
原題(英題):※※※
🎥製作国 :日本
🎥初公開 :1944
日本公開 :1944/12/07
🎥上映時間 :87分
🎥受賞 :※※※
🎥監督(製作):木下惠介
脚本 :池田忠雄
原作 :火野葦平
撮影 :武富善男
音楽 :市川都志春
出演(声優):笠智衆、田中絹代、東野英治郎、上原謙

🔸Overview (Wikipediaより)———————
『陸軍』(りくぐん)は、1944年(昭和19年)公開の日本映画。木下惠介監督の第4作。木下が戦中に撮った4本中、最後の作品。
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