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ソウルフル・ワールドのRenのレビュー・感想・評価

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)
4.0
『モンスターズ・インク』『カールじいさんの空飛ぶ家』等、ピクサーの代表作を数多く手掛けてきたヒットメーカー、ピート・ドクター監督の最新作。最高。

『リメンバー・ミー』以降完全に何かを掴んだピクサーがまた傑作を生み出してしまった。過去作だと同監督の『インサイド・ヘッド』に雰囲気は似てる。従来のどのピクサー作品よりも実写的でジャジーで時間軸の短い映画。
映像美は言わずもがな変態の領域に突入していたけど、特に今作では光の演出が冴え渡っていたと思った。死後へ向かう場面で散りばめられている光の粒やニューヨークの日差しなど、すべてが繊細で美しい映像作品になっている。

映画を通して伝えたいメッセージは、なぜ生きるのか?という究極の問い。それに対して今作がラストに出した答えは余りにありふれててシンプル。だからこの作品を観て、世の中そんなに甘くねえよとか、そんなことじゃ自分は救われない!と思う人もきっといると思う。でも私が思うに、この映画が伝えたメッセージそのものは、前向いて生きるための大前提、必須条件。そこから先どうするかについては観客に投げかけて終わりますが、絶対に意図的にやっている。たった一つのメッセージを煮詰めに煮詰めたことが、『ソウルフル・ワールド』が名作になった大きな理由の一つ。

予告からは予想できなかった嬉しい裏切り展開もあり、中盤はメッセージ性云々関係無しにコメディとして楽しんだ。が、反面、全編通して間延びぎりぎりのシーンが結構多い気もする。小さな子がただただ楽しむために観るのには1番向いていないピクサー作品かもしれない。

月額700円でDisney+に入会するだけの価値は絶対にある。アカデミー長編アニメ部門に絡んでくることは間違いないでしょう。人生の節目節目で見返したい映画になった。


《第93回アカデミー賞戦歴》
受賞
★作曲賞
★長編アニメ映画賞
ノミネート
⭐︎音響賞
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