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ソウルフル・ワールドのkaitoのレビュー・感想・評価

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)
3.9
『ソウルフル・ワールド』


率直に申し上げれば今夏に公開した『2分の1の魔法』はあまり好みではなかった。客観的観点また私情も含めて。でもこの本作は心から楽しめた。

久しぶりに視覚的・聴覚的な面が印象的であったと感じる。音と映像がマッチしてることが多く、主人公がイキイキしているときは、明るいジャズが鳴ってたり心理描写が音楽と合致していてすごく興味深かった。ソウルの世界に移動してしまうシーンも視覚的に面白かったし、SE・サントラも好きだった。なんかそのままトゥモローランドで流れてても変じゃない音楽があって、個人的にはそれも好みだった。色々な面で感覚が刺激される映画である。ソウルも含めて。

年々向上している映像もかなり興味深い。リアルに感じられるんだけど、しっかりピクサーらしさも残されておりこういう点でも魅了される。

世界観もすごく興味深いものがあった。生まれてくる前の「魂」を映像化し、それを面白い具合に落とし込む。それがやはりピクサーはうまい。(『インサイド・ヘッド』とこの点は似ている。)もうすでに亡くなっているリンカーンやマザー・テレサもこれから生まれる魂のメンターとして登場していて、そういう点も面白みがあると感じた。

キャラクターは他の作品ほど惹かれることはなかったのが正直なところ。しかしジェイミー・フォックスの声優は非常にマッチしていたし、よかったな。22番はこの映画におけるスパイス的存在であった。

この映画が伝えたいことは単純なもので、「人生の一瞬一瞬を大切にしよう」というわけ。目的に囚われすぎなくていいんだなと覚えさせられる。でも簡単なようで人間にとっては難しいことなのかも。また22という数字はエンジェルナンバーで意図的に使われていたんだなと思う。掲げているメッセージ性がしっかりあり、最近のピクサー映画ではダントツに好きな方だと思う。
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