てっぺい

ソウルフル・ワールドのてっぺいのレビュー・感想・評価

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)
4.5
【輝く映画】
山場のシーンで、人生の素晴らしさを全力で伝えてくれる。まるで自分の生き方まで輝かせてくれるような強烈なメッセージを持った映画。独創的な“ソウル”の世界も、キラキラ輝く素敵な映像美。
◆概要
ディズニー&ピクサーによる長編アニメーション映画で、Disney+で2020年12月25日から独占配信。
監督:「カールおじさんの空飛ぶ家」ピート・ドクター
◆見どころ
自分の生きる毎日が輝きだすような、生きる力を与えてくれる映画。“考えさせられる”映画はよくあるけれど、この映画は可愛らしく、優しく人の道を説く説得力がある。概念の世界を映像化する映像美も力強い。
◆ストーリー
夢を叶えるチャンスを手にしたジョーは、直後運悪くマンホールに落下、そこから「ソウル(魂)」たちの世界に迷い込んでしまう。そこはソウルたちが人間として現世に生まれる前にどんな性格や興味を持つかを決める場所。ジョーはそこで、22番と呼ばれるソウルと出会う。正反対の2人の出会いが冒険の始まりとなるが……。

◆以下ネタバレ

◆メッセージ
何よりも、終盤に描かれるこの映画のメッセージの骨太さ。ジョーがやっとの思いで掴んだ夢も虚無な達成感に包まれる中、22番の素朴な感情に気付かされる、毎日の一つ一つの小さな幸せ。そしてそれが何より一番輝いていること。「アバウトタイム」にも見た、“視点を変えれば毎日がとても美しいものに変わる”、映画を通して自分が清められるような、これこそ映画の醍醐味が詰まった映画だと思う。それが誰かのちっぽけなセリフではなく、映画全体を通して積み上げ、ジョーが過去を回想するシーンでそれを頂点として表現する、このシーンのためにこの映画全体を作ったとすら思える本気度が素晴らしい。
◆世界観
ソウル達は、“人生のきらめき”を見つけることで、人間の世界に生まれることができる。ユー・セミナーで、ジョーを師匠に、さまざまなことを教わり、きらめきを見つける、はずがそうならないこじらせ22番。製作側はまあよくここまで想像したものだと思う。でもそのこじらせ22番が1番小さな人間界の幸せに気づく、この映画の流れの良くできたこと。
◆映像美
ソウルという、誰も見たことがない、想像でしか描けない世界観。青をベースに、そして全体的にどこかぼんやり、カウンセラー達は線で描かれ、そして何よりソウル達が可愛らしい。ピクサーならではの柔らかでオリジナリティ溢れる映像美が堪能できた。
◆クス笑い
本筋の話ではないけど、ネコになったジョーが光の跡を反射的に追いかけてしまったり、部屋の日差しに眠くなってしまったり、何気ないネコのかわいさもしっかり描写するピクサーらしさが憎かった笑。
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