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ソウルフル・ワールドのdeenityのレビュー・感想・評価

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)
4.2
アカデミー賞でもかなり評価されていましたね。同じピクサーなので『インサイド・ヘッド』と似た雰囲気を感じましたが、同じ監督みたいですね。

ジャズミュージシャンを目指しながら学校の音楽の講師をする日々を送るジョーが、有名ミュージシャンとライブをすることになり、浮かれまくって喜んでいたら死んでしまうという話。
まあソウルの話というのはわかってはいましたが、まさか主人公が早々に死ぬというのはさすがに衝撃的でしたね。一瞬何が起きたのかわかりませんでした。

そしてそんなジョーのソウルが行き着いたのがあの世の目前で、そこに抗った末に行き着いたのが生まれる前の世界、ユーセミナーという所だった。
このユーセミナーの描写が何とも言えない情景で良かったですね。なんか睡眠促進アプリとかでありそうな幻想的な雰囲気で、色合いが特に絶妙でした。

ただ正直本作2回見ていて、設定自体面白いのですが、1度目はそこがしっくり来る前にどんどん進んでしまって自分の中にスッと落ちなかったので、世界観を味わうためにもここはしっかり理解しておくのがいいと思います。実際設定自体は面白いです。ゾーンの世界とか、なるほどと思わされました。

そこで22番という問題児のソウルと出会い、生まれるために必要なきらめきを見つけるために現実世界に戻ってくるというストーリーですね。

自分の生きる目的は音楽だと信じてやまないジョーときらめきを見つけられないひねくれ者の22番。この二人のやりとりもまたいいんですが、これがかなり深いところをえぐってくるテーマを突き付けてきましたね。
生きる意味とは何か。
あれほどその瞬間に賭けていたジョーが演奏を終えて、大成功して、それでも終わった時に冷静だったとつぶやいたあの虚無感漂う感じ。いや、現実そんなもんだよ、というか、どれだけ期待して熱望していた舞台だったとしても時間の流れは同じだし何も変わらないというか。適当ではない表現かもしれませんが、残酷だなと思いました。

でも、だからこそ何かのために生きるのではなく、生きることこそ目的であるというテーマ。きらめきの真実は生きる目的など関係ないのだと知り、日々の中の一緒一瞬を大事にすべきだと辿り着くあのラスト。素晴らしかったです。
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