円柱野郎

前田建設ファンタジー営業部の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

空想世界の建造物を受注し建設したらどうなるか、前田建設の有志によって立ち上げられたウェブサイト企画を原作にした会社コメディ。

現在の建築技術で行うとどうなるかという考え方はピラミッドや仁徳天皇陵みたいな実在の建造物で話題になることはあるけど、これを空想世界の産物に対して一企業の企画として行っているところがユニークで面白い。
だからこそ話題にもなるわけだけど、そういう意味では広報企画としてはポジティブな影響力があって成功だよね。
本作はそんな話の映画化という話ですが、まあさすがにその企画会議をドキュメンタリーチックにやっても盛り上がらないので、あくまで会社コメディとして騒々しく描いている感じ。

企画を立ち上げるアサガワは大声を出しながら人を巻き込んでいくタイプでかなりウザったい(苦笑)
しかし演じる小木博明は結構はまり役だったとは思う。
ふつうは、“当初ウザったかった人物が実は裏で奔走していて、メンバーはそれに感化されて一致団結していく…”みたいな展開がベタなんだけど、この人物は最初から最後まであんまり印象は変わらないw
当初乗り気ではなかったメンバがこの企画にのめりこんでいく経緯がそういう“一個人への感化”ではなくて、あくまで方式・掘削・技術といった建設の“創意工夫の魅力”にハマっていったという展開が本作の良いところだと思う。
それによって全員アサガワと同じ地平(?)に並んだのだw

そういう建設PV的な目線で観れば面白い映画だとは思う。
ただ個人的には妙にテンションの高い会話劇に置いていかれる場面もあったというか、全体的にマンガチックな演出というところも良し悪しに感じるところがあったのも事実。
映画的にどう盛り上げるか腐心した面も感じられるけど、マンガチックになったがために嘘くさいというジレンマもあって、その辺へんは難しいところだなとも思った。

個人的に気に入っているところは、技術的な実現方式のアイデアに行き詰まり外部へ持ちかけたところ協力を申し出た企業が、いずれも真剣にマジンガーZの世界観を共有している場面。
熱いよなー。
濱田マリが真剣な顔で言う「(設計に)1年半、それまでDr.ヘルは待ってくれるやろか」、良いわw

一方で気になったのは導入部分での「マジンガーZ」に関する会話。
「マジンガーZ」を知らない人向けへの説明台詞だというのは理解するとしても、冒頭で「『スパロボ』でマジンガーは知ってます」と言っていた人物がパイルダーを知らないと言うのはいくら何でも適当過ぎる。
そこは違う人物に台詞をあてるべきだったんじゃないかねえ…。

あとは、ラストでデスラーが登場したシーンが実写(コスプレ)だったけど、どうせならそこもアニメにすべきだったかなとは思った。
弓教授に甲児やさやかも(画面ないとはいえ)アニメで登場していたのだから。
円柱野郎

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