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Keep It for Yourself(原題)のROYのレビュー・感想・評価

Keep It for Yourself(原題)(1991年製作の映画)
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オムニバス映画『フィガロ・ストーリー』の中の一編で、ジョン・ルーリーの音楽をバックにニューヨークの街と異邦人の姿が活き活きと描かれている。

■NOTES
恋人の失踪でニューヨークの下町に取り残された若いフランス人女性、ソフィーの偶然の出会い、混乱、冒険が物語の中心。

もともと、日本限定のレトロカー「フィガロ」を紹介するオムニバス映画の一編として依頼されたこの映画は、1990年の長編2作目『死んだってへっちゃらさ』以後のドゥニにとって、驚くべき挑戦であった。唯一与えられた制約が、何らかの形で車を登場させることだった。ドゥニは、この場違いな車に中心的かつ控えめな役割を与え、現代的な雰囲気を醸し出す巧妙な脚本でこれに応えた。彼女の声は全編に渡り、彼女の特徴である官能性と下町のキャラクターへの愛に溢れ、美しいバランスのラブストーリーに仕上がっている。

ドゥニの長年の協力者であるアニエス・ゴダールが光沢のあるハイコントラストなモノクロ写真を提供し、ヴィンセント・ギャロがこの映画監督にとって4回目の役で忘れられない出演を果たしている。この作品は、90年代のアメリカのインディペンデント映画の貴重なスナップショットでもある。後にプロデュースの巨人となるジェームズ・シェイマスとテッド・ホープの伝説の会社「Good Machine」の第1作で、サラ・ドライバー(今年、パートナーのジム・ジャームッシュの『デッド・ドント・ダイ』に出るまではサラが出演した最後の作品だった)とプロデューサーのジム・スタークが出演し、ジョン・ルーリーが音楽を担当している。このユニークな作品について、ドゥニはこう懐かしそうに語ってくれた。

「すべてが新しく、その経験は私のすべてを変えました。寒さ、湾岸戦争(撮影中に勃発)による道路の封鎖、少ない予算、アメリカの映画製作へのさまざまな期待に直面し、自分にはないと思っていた気楽さと設備を発見することができました。ジェームズ・シェイマスやヴィンセント・ギャロのような人たちと出会い、アニエスやサラが私のそばにいたことは、信じられないことでした」クレール・ドゥニ

Le Cinéma Club, https://www.lecinemaclub.com/archives/keep-it-for-yourself/
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