maki

兄弟愛のmakiのレビュー・感想・評価

兄弟愛(2018年製作の映画)
3.6
過激派となってシリアに行った息子(長男)が布を纏った女性を連れて帰ってきた家族の話。
母と父それぞれの息子への想い、長男の弟たちへの想い。それぞれの愛と葛藤の苦しさと、それらを包み込む周りに広がる大自然は独特の淡い色彩がなんとも言えない。

前知識なく見始めたらどこの国かと分からないまま話は進むけど、細かいことは分からずとも、アラブ諸国の一つの現実なのだろうと見入る。

後から解説を読むと、アラブの春の起点となったチュニジアのジャスミン革命後のことのよう。
チュニジアは国としては民主化への移行がうまく行ったという印象だけど、それでも、解像度を上げると見えてくるものや、国という単位を超えた同じ思想を持つものへの行動があるということなのかな。

この作品の長編を作っているらしい。

【追記】
民主化への移行プロセスでの混乱、反発から、シリアへ行く青年が多かった時のことのようです。
(他の方のレビューでものすごく詳しく書いてあって、勉強になりました)

民主化への移行が上手くいかなかったエジプトを反面教師に与野党が折り合いをつけたという感じかと思うけど、折り合いをつけるなんて簡単なことでもなく、その過程で起こっていた事象は激しいもの。

20分程度の短編作品から、20分どころでは理解し得ない世界の様子を学ぶ機会になる作品です。

ちなみに、米アカデミー賞の短編実写部門ノミネート。
maki

maki