ちろる

向かいの窓のちろるのレビュー・感想・評価

向かいの窓(2019年製作の映画)
3.8
「向かいの窓隣の芝生は青く見える」
昔からそんなことわざがある。大人になればこの言葉の意味はだんだんと実感し理解できるものの、感情は追いつかない。
最近はSNSの普及もあって、インスタを見るとみんな幸せそうで辛いからインスタやめた人が増えてると聞きました。
でも思い悩む人には私は言いたい。
「インスタでそもそも不幸全開の瞬間アップする人は少ない。みんな日常にあるキラキラ瞬間。残したいだけだから気にすんな」と。
みんな色々あるんだよ。
悩みない人なんていないんだよ。
SNSはそういった意味で沢山の見知らぬ人を覗き見してるようはものなのかもしれません。

この物語の3人の子育てに追われる夫婦が、向かいの家の窓で幸せそうにしてる若い夫婦を覗き見するところから始まる。
おしゃれそうな生活、ラブラブに愛し合う2人、時には沢山の友人を呼んでパーティーまで開くのを横目に自分はメイクもそこそこに髪を振り乱して子どもの奴隷と化していて、不満は募るばかり。
「羨ましい」「わたしにもこんな優雅な時間が欲しい」そう眺める主人公でしたが、ある時に意外な光景を目にすることに・・・。
「隣の芝生は青く見える」
ということわざを当てはめるにはあまりに重く、なんと言葉に表現してよいのやら分からないけど、マンハッタンの夕暮れの美しい風景と、シンプルながらも心にじわっと染み渡る印象深いラストシーンは流石アカデミー賞短編映画賞を受賞しただけある味わい深い作品でした。
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