都部

ブラック アンド ブルーの都部のレビュー・感想・評価

ブラック アンド ブルー(2019年製作の映画)
2.9
公務汚職と人種差別、世界の醜悪さを目にした女性警官は正義を求めて街の全てを敵としてひた走る。

社会問題を意識した脚本ではあるがレイシズムに満ちた汚職警官を敵役としながらも、世に蔓延る悪行を良しとしない社会正義に燃える主人公の信条のみを物語の推進力としているのは問題の単純化のように感じられて、粗筋から期待される社会情勢への一石は薄まってしまっていた印象が強い──取り上げる題材は良かっただけに、半端な社会描写と警官やマフィアを加えたアクション劇が先行して映画としての深みはあまり見られないというのもあるだろう。

しかし一映画としては、汚職の目撃から味方であるはずの警察組織が敵に周りその証拠を守りながら逃走しなければならないというスリリングな展開が終盤まで続くので緊張感ある物語として楽しめる出来にはなっている。それだけにスポット的な扱いで友人や幼馴染との関わりが処理されずに、もう少し人間としての側面に迫っていく展開があれば前述の印象はまた違ったのではないか。良くも悪くも一本調子で、ブラックアメリカンの実情という柱で芯を通している作品なのでサクッと見るには丁度良いかもしれない。
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