白人警官ともみ合いになった末、射殺してしまった黒人の男女二人が逃走する冒頭はサスペンスフルだが、その後の逃避行は何ともまったりしている。
これはサスペンスとして作られてないのか?
警官を射殺した瞬間を捉えたカメラの映像がSNSで拡散されると、彼らは英雄として祀り上げられていく。
咄嗟の防衛行為としてやむを得ず警官を殺した主人公たちの実像と、偶像としての彼らとのギャップを描こうとしたのか?
それだったら、二人を崇拝する人たちの視点が足りないし、彼らの影響で警察を殺した少年の事も投げっぱなしのままになっている。
いや、これは二人が逃避行の中で心を通わせ、世間のではなく互いの"レガシー"になる物語として描いてる?
…という風に、話の焦点を探りながら観てる内に映画が終わってしまった感じ。
途中で映し出される綿畑で働く黒人たちの風景とか、ヒロインの叔父がベトナム戦争でおかしくなってしまったエピソード等、ちょいちょいアメリカの負の歴史に触れる瞬間がある。
自分が気付いたのはこのぐらいだが、アメリカの観客だともっと色々気付ける部分があるのだろうか?