ウィンカーを出し忘れただけで、白人警察に車を止められたクイーン(ジョディー・ターナー・スミス)とスリム(ダニエル・カルーヤ)。
黒人だからという理由であらゆる職務質問をされ、とても理不尽な思いをすることに。冒頭からとんでもない事件に発展してしまい、二人の逃避行が始まる…。
スタイリッシュな逃走劇のロードムービー。逃走してるはずなのに悲壮感はあまりなくて、たくさんの音楽が流れたり、二人はまるでデートを楽しんでいるかのよう。
全体的に画面が暗めなんですが、照明で素敵に色を使っているのか、とても映像がオシャレに感じました。
だけど逃走していく中で何人かの人との出会いがあり、二人に対して友好的、敵対的、様々な心の内を垣間見ました。
スリムの役柄がとっても優しく、移動していく中で二人の心の距離が少しずつ近づいていくにつれて、頼りになる存在なんだと感じました。
SNSで二人の行動が明かされ、二人が社会に対して与えた影響は計り知れなくて、二人の意図しないところで周りが盛り上がり、ある少年の人生にも影響を与えてしまうところはショックでした。
この作品の背景に感じた白人による黒人差別。お互いに許し合おうとできない、心の壁。最後に二人が決断した選択が正しいかは分からないですが、白人によってねじ伏せられない意志の強さを感じました。でも結局は白人でも黒人でも認め合ってる部分は感じたし、この作品からは同じ黒人同士でも、大切なのは自分という人もいる。そして怖いのは日常的に溢れている銃のある社会であるのかなとも感じました。
差別に立ち向かって行く二人をスタイリッシュに描いた作品でした。
