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クイーン&スリムのRのレビュー・感想・評価

クイーン&スリム(2019年製作の映画)
3.7
映画鑑賞という生涯に渡るであろう趣味を更に充実させるための新たな取り組みとして、映画好きの方々のTOP10リストからランダムに作品を選択し、鑑賞するということを試みることにしました。これで現在4つの取り組みを同時進行していることになります。そんな中、まず第一弾に選んだのが、クィーン&スリム。んーーーーー一発目から先行き不安!🤣 まぁ、そのうち当たりもあるでしょ! どれか当たるでしょ! とはいえ、本作もそれなりに楽しめました。Tinderで出会った黒人男女ふたりが、初デートでぎこちなく食事を取ったのち、さぁ帰ろうかと車で移動を始め、しばらくたったとき、ウィンカーを出し忘れたために、パトカーに止めらてしまう。車外に出されボディチェックされるスリム。頼むからはやく終わらせてくれ!!!と嘆願するスリムを威嚇するため、警官は銃を取り出し、構える。このありがちなうんざりの緊張の状況をスマホで撮影しようと、ポケットに手を伸ばすクイーン。彼女に向かって警官が発砲! 擦り傷で済んだが、クイーンを守ろうと、スリムは警官ともみ合いになり、はずみで警官を撃って、殺害してしまう。そして始まる逃避行、という流れで、最初の展開は非常にスピーディーかつスリリング! 米国における警官による射殺事件の犠牲者は年間1000人以上、うち27%が黒人。米国全人口に占める黒人の割合は13%、白人は63%。しかしながら、被害者総数に対する黒人被害者の割合は、白人の3倍に値する。日本でも時おり報道されるそういった事実をベースにして見ると、前半は、うわー、ほんまにこんな感じなんやろなーとハラハラせずにはいられない。張り詰めた緊張感で、展開に釘づけになり、さて、どんなサスペンス展開が待っているのか、と楽しみにしていたら、逃亡が始まってからは、緊張感激減。あーれー。何かねー、流れにぜんぜん一貫性がないんです。さっき食事とったばっかりなのに、すぐお腹がすいたといって、ファーストフードの持ち帰りをゲットしてたら、駐車場で男を轢いてしまって、病院に連れていったかと思ったら、たまたま通りかかったパブに立ち寄ってダンスを楽しんだり、馬を見つけて乗馬に興じたり、しかも、ふたりが代わりばんこに、互いに、「そんなことしてる時間はないよ!」と注意する……そもそもふたりともがのんびりした性格ならええんやけど、クイーンの方は職業が弁護士、んー、それで逃亡するぞって発展すること自体に無理があるのに、道中の油断しすぎには恐れ入ります。演出的にもまったく緊張感なく、ふたりがそ」ほど自暴自棄になってないのに加えて、身につけてるファッションの印象も加わって、ただチャラチャラ遊んでるようにしか見えない。120分超えの上映時間をタイトに切り詰めて、もっとスリリングにすることもできたんじゃないかと思わずにはいられない。監督的にはそういう映画にはしたくなかったのでしょうが。けど、冒頭数分がすばらしいだけに、もったいない気がした。もちろん、いいところもいくつかあって、彼らと似た状況で殺される黒人がたくさんいることにうんざりしてる人々が、彼らに協力的だったり、やがてBlack Lives Matterなデモになったりしていくシーンや、綿花畑に立ち並ぶ南部黒人奴隷を想起させるショットがあったり、アメリカ社会の暗部をところどころで描いてて、こういうのは日本映画では決して見られないムードだなーと思った。あと、車を走らせてるシーンはどれも良かったなー。前半、漆黒の闇夜のなか、片側だけ街灯に照らされた道を延々と進んでいくショット良かったし、夜明けや夕焼けの空がめちゃくちゃきれいだった。そして何より、クールでチルなR&Bのサントラ!!! 映画見なくていいからサントラだけ聴いて!!! ほんまに良い。1曲だけ最後にリンクをはりつけておきますわ。そして、最後に、スリムを演じたダニエルカルーヤ、めちゃくちゃキュートなイケメン。ジャージのパンツに白Tシャツで金のネックレスだけでこんなにイケてるだなんて!!! 特に黒い肌にゴールドはほんまに似合っててかっこいい!!! 豹柄のワンピにヘビ皮のブーツのヒロインの方は、んー、ノーコメントで。個人的にはこのふたりは仲良しのバディー的存在でいてほしかったので、終盤のセクシーなシーンは要らなかったなー。で、セクシャルなシーンをテーマ的にめちゃめちゃ重いシーンに重ねてて、ダニエルカルーヤくんセクシーやし、テーマ重いし、セクシャルやし、テーマ重いしで、どんな気持ちで見たらええねん!!! てなりました笑 そして、本作のエンディング……これは、日本に住む我々からしても、賛否両論になりそうなので、黒人のみなさんにとっては一層そうであるでしょう。もうこんな映画はやめてくれ!!! って人がたくさんいてもぜんぜんおかしくない。けど、黒人の人種問題は現実まったく解決してないんだから、どうしようもない。ほんとに難しい問題だ。こういうの見ると、ほんと、人間は、すべての事象を「生命」という次元でとらえ直すべきだと、強く、強く、強く感じる。表面的な差異で、人間をジャッジすることは、悲劇しか生まない。そういうのはもうやめませんか。やめましょうよ。
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