リョウ

ベル・エポックでもう一度のリョウのレビュー・感想・評価

ベル・エポックでもう一度(2019年製作の映画)
2.1
失った愛を取り戻せ大作戦!
これまでも過去に戻ったりパラレルワールドに行って奥さんとの愛を思い出す映画はたくさんあったが今作は疑似タイムスリップ。要は幻。
タイムトラベル請負業者が顧客の要望にしたがって過去の時代のセットやら役者を使って過去を再現するというもの。
で、主人公が選んだのは40年か45年前の奥さんと初めって出会ったバー。もちろん本人を若返らせることは出来ないので主人公は老いた体で20歳くらいの青年を演じることになる。そして奥さん役は20歳位の赤毛の美女。
役者達は顧客の要望に従ってセリフや行動が決められてる。あらかじめ顧客から渡された脚本を基にスタッフが現場の役者にイヤホン越しに指示を与える。
確かに面白いアイディアなのだが顧客に徹底的に尽くす役者、というか美女を観ている内にある疑惑が私の中に生まれた。
「これ新手のキャバクラじゃねーのか?」
あんな美女に自分が望むセリフや行動を起こしてもらえたらそりゃ主人公じゃなくても恋に落ちてしまうわ!
中には他の顧客も同じバーに出てきてその人は亡き父親との過ごせなかった最後の時間を取り戻そうと言う健全な目的だったけど。
そしてキャバクラというかボッタクリに近いのがその費用!あまりのサービスの良さに(もしくは下心)に満足した主人公は2晩の延長を希望するのだがその金額や2万ユーロ!確かにあんな大掛かりなセット組むのだからお金がかかるのは納得できるがあまりにもベラボウな値段に主人公も私も言葉を失う。
それでも火がついてしまった男の恋心と下心にストップをかけることは出来ない!こうして奥さんを失った主人公は果てしない底無し沼へと堕ちていくこととなってしまった。
何か結局過去の輝いていた自分を忘れられない迷子の中年男の哀れな姿を描いている様で胸が痛い。まあキレイな言い方をするとノスタルジックな気分に浸れるのだろうけど。でも映画としては完全にコメディタッチでそんな悲壮感を感じさせない作りになっている。私が寝ていたシーンを除けば。。。
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