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眠りに生きる子供たちの海のレビュー・感想・評価

眠りに生きる子供たち(2019年製作の映画)
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雨がふっているから、傘をさしている。それと同じ感覚なのかもしれない。この子たちは、生存を放棄するというよりも、きっと生きるために眠り続けるのだろう。子供が眠る姿はいとおしい。そして、そのいとおしい子供たちに、自らを守るすべがそれだけしか残されていないということが、ただただ悲しかった。わたしは眠りを、笑顔や涙と同じくらい美しいものだと思っている。死やあきらめじゃなく再生と治癒を表す行為だと思っている。彼らの眠りが、悲しみや不安をきちんと食い尽くす日が、一刻もはやく訪れますようにと祈るばかりだった。自分の傘を、この子供たちのためにさしかけるくらいのこともわたしにはできないが、せめて目を逸らすことだけはしたくないと思う。
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