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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェストのmrhsのレビュー・感想・評価

4.0
全編3時間弱を見終えた時、確かな重々しい手応えが残るのは事実だが、一方で語り口がかなり重鈍だから尺が3時間近くに及んでしまったというのもまた事実か。

この映画はあと何分短く出来たみたいな話をする映画マニアは多いが、この映画は例えばドン・シーゲルなら120分前後には出来たのではないか。

最初のシークエンスからしてそうだが、とにかく場面の進み方が遅い。あそこでハエ、必要だったか?(しかし一方で話を唐突にぶった切るような省略もあるから不思議だ)

ローアングルを多用したり劇的な場面で劇伴が数拍止まったり、強引に場面を音で繋いだり、凝ろうとしているのはわかるのだが、こういうのはダサさと紙一重という感じがする。

あと凝っているようで肝心の構図や照明の美しさも微妙。そういう美しさが目当てならヴィルモス・スィグモンドが撮影をやったアルトマンの『ギャンブラー』を観た方がいい。

ちなみにベルトルッチとダリオ・アルジェント(!)が原案に関わっているのだが、クライマックスでチャールズ・ブロンソンに張り付いた(としか言いようのない)カメラは完全にベルトルッチ風だし、ゴダールというよりはモンテ・ヘルマンの西部劇のようなポストモダン性(なのか?)はダリオ・アルジェントによって、もたらされたもののような気がする。
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