バナバナ

ガリーボーイのバナバナのレビュー・感想・評価

ガリーボーイ(2018年製作の映画)
4.0
正直私にはラップバトルは悪口合戦にしか見えないし、この映画の冒頭でムラドがアメリカのラップをよく聞いていたけど、その内容も下ネタ丸出しで下品だったし、
本作を最後まで観れるかしらと思っていた。

しかし、『ストレイト・アウタ・コンプトン』がバンドを作って、成功して、
空中分解するまでを描いていたのに比べて、
本作はデビューするまでの時間を見せているので、
主人公ムラドがムスリムで、スラムの出身で、家庭の中も荒んでいて、
社会からも差別されていて、八方塞がり…というところをじっくりと描かれていたので、
インドの底辺の生活ぶりというのがよく分かり、『ストレイト…』よりもリアルな感じがしました。

本作を見て、まだ事情が分からなかったところが、ムラドの彼女であるサフィナが、医大生の割に他人に平気で暴力を振るうのがよく分からなかった。
幾ら気が強いという設定だとしても、それOKなの?と思いました。
サフィナの家が医者なのに、ムラドの母方の、会社経営をしている伯父の家の方が凄く立派だったのもよく分からなかった(サフィナの家はスラムで医者をやってるから、欲張っていないという事なのかな?)。

あと、ムラドはスラム出身で大学に行っていたけど、幼馴染3人組の中の一人も同じ大学に通っていたが、その彼は実家が裕福そうなのに学業はバカっぽかった。それでムラドと同じ公立の大学に通えるものなの?
インドでは公立大学の方が入りやすいのだろうか?

それに、ムラドたちがプロデュースしてもらったスカイ役の人は肌が白いと思ったら、南インド出身だけど両親ともにフランス人なので、血筋は完全にフランス人の役者さんだった。
彼女は海外の音楽大学で教育を受けた人なのか、インド生まれの外国人という事で目立って成功したのかが、よく分からなかった。

最後まで見ても、伯父さんは母の兄の筈だからカーストとか宗教も一緒の筈なのに、ムラドを使用人扱いしてたし、
インドでは、現在はカーストよりも経済格差の方が大きいのかな?
ムラドの詩は下品ではなく、生活に根付いた心の叫びだったので良かったですが、
私はやっぱりラップは嫌いだわ、と思いました。
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