イライライジャ

ガリーボーイのイライライジャのレビュー・感想・評価

ガリーボーイ(2018年製作の映画)
3.5
ヒップホップ映画の知識がまるでないので前日にエミネムの『8mile』を鑑賞したが、まんまインド版『8mile』で、そこに『シークレットスーパースター』のように家族の問題やロマンスやYouTubeへの動画投稿などを取り入れたエンタメ作に仕上がっていた。実話を基にした映画。

ムンバイのムスリムが住むスラムで生まれ育つ大学生のムラド。毎日の礼拝を欠かさず行い、酒も飲まないが家族や世間からはボンクラ扱い。ラップを好んで聴き、歌詞を書いているが、MCシェールとの出会いによってラップで人生を語ることとなる。

ムラド役はお馴染みのランヴィール・シン。いつもはオールバックにしてイケイケのチャラい男が多いけど実は前髪を下ろすと冴えない雰囲気が漂う。(ムキムキだけど) オールバックにした途端に一気にイケてる奴になるMVが良い。監督曰く、ランヴィールは“クローゼットラッパー”(笑)だそうで、実はラップが好きだったから彼しかいなかったとのこと。
ムラドの彼女である医大生サフィナ役はこれまた見ないことはないアーリア・バット。最近異常なまでに演技力が上手くなっていってるけど本作でもバチバチに我が強いエキセントリックな女性をこなしていた。さすがです。

他国のスラムよりも遥かに事情がヤバいインドのスラム街。生活環境も酷い。ラップでスターダムにのし上がっていくと思いきや、家族からの非難や世間体などの大きな壁がのしかかる。でもムラドは諦めない。なんせガリーボーイ(路地裏少年)なのだから。

ラップを聴かないので、楽曲が良いのか悪いのかわからないけど撮影の際には常に40人のマジモンラッパーがいたらしく本格的に向き合っているとは思う。

多くのインド人は人生の選択肢がない。
本作では、女性であること、自分の人生であること、選択肢を自分で決める人たちの物語だった。