タキ

ガリーボーイのタキのレビュー・感想・評価

ガリーボーイ(2018年製作の映画)
3.5
ラップ詞ともなると通常の翻訳以上に難しいと思うけど英語もヒンディ語もわからない民でもうまい日本語訳でかなり感じはつかめたと思う。
インド映画は民族衣装着て突然歌い踊るみたいなのは見たことあるけど、よく考えるとインドの貧困や格差社会とラップは親和性が高い。こういう若者がでてくる土壌はあるわけだ。ムラドは才能があったのかもしれないけど最大の幸運は自分の言葉を自分で歌うことをすすめてくれたシェールなど良い仲間に恵まれたことだと思う。
インドはかなり強固な父権主義社会のようだ。男性が割とカジュアルに子供や女性を殴るし、女性の地位の低さは重婚を許可してるところからも窺いしれる。とても金持ちとは言えない男ですら重婚できるってどれほど男女間に賃金格差があるのか。サフィナは確かにデンジャラスガールだけど蔑まれ殴られるインドにおける沢山の女性の人生を思うと希望の光のようだった。私は作法だとは分かってはいるけど相手を人格否定しながら激しくなじるラップバトルを聞くにつけなんとなく悲しくなってしまう。それよりも「わたしから学問を奪わないで」と号泣していたサフィナの言葉の重さに胸を突かれる。早く彼女たちが笑って暮らせる世の中になればいい。ムラドがなんとなくダメな男の雰囲気なのが大変気にかかるけども。お金ができたら態度が変わりそう。
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