アギゴン

最初の晩餐のアギゴンのネタバレレビュー・内容・結末

最初の晩餐(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

闘病の末父の日登志が亡くなった。
麟太郎と姉の美也子は父の葬儀のために久々に故郷に戻ってきた。通夜の準備が進む実家で、突然姉と母が揉め始める。母が通夜ぶるまいの仕出しを勝手にキャンセルし、自分でつくると言い出した。集まっていた親戚たちも戸惑いが隠せない。そんな中最初に出てきた一皿は、一見何の変哲もない目玉焼き。その後には味噌汁…餃子…ピザが…。麟太郎と美也子は母がもてなす手料理は、1品1品全て父と家族との思い出が詰まっているものだったことに気付く。そして同時に苦い思い出も蘇って来るのだった。




〜ネタバレ〜



日登志には美也子と麟太郎。アキコにはシュンと言う一人息子がいる、子連れ同士の再婚だった。子供たちは戸惑い、動揺し特にシュンと美也子は思春期を迎えていたこともあり、ぶつかり合う事もしばしば。味噌汁の味噌の違いひとつで食卓をザワつかせる事も。アキコはある日、白味噌と赤味噌2つの味噌を合わせた味噌汁を食卓に並べ「これからはこれしか作らないって決めたから」と言い切った。その日からその味噌汁の味は新しい家族の“新しい味”となり、食卓に並べられる料理は新しい家族を繋げる大切な味となっていった。

家族としての絆が深まって来た頃、アキコの元に訃報の電話が入る。アキコは激しく慟哭し、数日後シュンは家を出た。
謎に包まれたまま東家の食卓からは笑い声や笑顔の団欒は静かに消えて行った。

父とアキコの間には子供たちには告げられなかったある秘密があったのだった…。


感想
父親の通夜の日に、母の作る通夜ぶるまいを味わう事で、懐かしい思い出が蘇り、
あの料理は父が子供たち一人一人に深い思いを込めて作っていた料理だと知っていくシーンではほんと涙が出ました。
複雑な思いを抱えた家族をひとつにしてくれたのは、ごく普通の料理をみんなで囲んで、食べた温かな食卓にあったのかなと思います。味の記憶って大切ですよね。
シュン兄が現れササッと作ったすき焼きのシーンも胸がギューッとなりました。(消して牛肉だからギューッと言った訳じゃないです)
食べ物にまつわる思い出がこの家族を幸せに導いていたんですね。何度もじわ〜として感動しました。
通夜の日の出来事に美也子は改めて夫の大切さに気付き改心をし、麟太郎は彼女が持ってきたおはぎで、父に迷っていた事に対して背中を押されたように感じるシーンでは、今でも家族を見守っている父の存在を感じて心が温かくなりました。

通夜の後、アキコは今まで秘密にしていた
事を回想シーンを交えながら美也子と麟太郎に告白していくのですが、斉藤由貴がこの役を演じた事で、より一層このシーンが深く沁みました。
「情熱…情熱…」あの歌が頭をよぎります。

家族の在り方について考えさせられる
あたたかい作品でした。
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