Shin

最初の晩餐のShinのレビュー・感想・評価

最初の晩餐(2019年製作の映画)
4.3
葬儀を扱った映画には傑作が多いですよね。
黒澤明監督の『生きる』、伊丹十三監督の『お葬式』、ウベルト・パゾリーニ監督の『おみおくりの作法』など。
やはり人が亡くなる場面には、様々な人間模様が潜んでいるからだと思います。

本作にはその上、見てるだけで食べたくなる料理が次々に出てくるんです。

常盤監督のことを今まで知らなかったのですが。本作が長編デビュー作で、ご自身の父の葬儀の体験をふまえ、7年の歳月をかけて脚本に仕上げたそうです。

ストーリーは、通夜から葬式の1日の中で、手作りの料理が出てくる度に、思い出がよみがえり、回想シーンになるという流れです。

お涙頂戴の話ではなく、母の作った味噌汁の好みで兄妹がケンカを始めるといった、日常のひとコマが丁寧に優しく紡がれていきます。

戸田恵梨香演じる美也子の子供時代を、森七菜がやっていまして。『天気の子』の主役の声くらいにしか思ってなかったのですが。演技のうまさには驚かされました。
もちろん戸田恵梨香も永瀬正敏も素晴らしかったです。

一方でクライマックスのシーンで、兄妹が葛藤を乗り越える飛躍がもう少しあったらなとは感じました。

煩わしいことも多いですが、かけがえのない家族の大切さを実感させてくれる良作です。


ここからは余談ばい。

戸田恵梨香演じる美也子や、親戚のおじさんたちの方言が九州やんと思って観よったとよ。
そしたら、TVの天気予報や、ホークスの野球中継がありようけん、僕の地元の福岡が舞台やってわかったちゃん。
この風景は福岡のどこやろかと思って、エンドロール観よったら・・
何と長野の上田やけんね!(笑)

おそらく監督の出身が福岡なので、話自体は地元のことが反映されているのではないかと。
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